第80章 一生この俺を振り切れると思うな

「西村」

「行け。法務部でいちばん腕の立つ弁護士を呼べ」

「手段は問わない。その離婚協議書、取り下げさせろ!」

「思い知らせてやる。この結婚は、俺――国分礼二が首を縦に振らない限り、永遠に終わらないってな」

西村はその剣幕に足がすくみ、今にも崩れ落ちそうになった。

長年、国分礼二の傍に仕えてきたが、こんなふうに理性を失った社長は見たことがない。怖い。いや、恐ろしい。

上に立つ者の怒りではない。追い詰められた獣が、世界ごと道連れに焼き払おうとする――そんな狂気だった。

「こ、国分社長……」西村の声は震えていた。「そ……それは、難しいかと」

「協議書はもう裁判所に提出されています...

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