第82章 お前は何の権利があって俺の代わりに決めるんだ

電話を切ってから、国分礼二が冷えきった客間の床にどれほど座り込んでいたのか――本人にも分からなかった。

指先が、何度もブロックしては、また解除してしまう名前へ滑っていく。名取心美。

彼女が泣きながら吐き出した言葉が、耳の奥で蘇った。

『忘れたの? 高校のとき、私と一緒に下校するために、土砂降りの中で二時間も待ってたじゃない……』

ああ。たしかに、そんなことがあった。

あの頃の自分は若くて勢いがあって、好きな女の子のために何かをするのは当たり前だと信じていた。

けれど今になって思い返しても、彼の胸に残るのは「彼女を待って会えた瞬間の高鳴り」ではない。ずぶ濡れで帰宅したあと、執事が差...

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