第83章 お前は一生俺を振り切れない

林田明がドアを押し開けて入ったとき、鳴瀬優真は巨大な床まで届く窓の前に立っていた。背中越しにも分かる。室内の空気が、ぞっとするほど重い。

「鳴瀬社長。夏目凛さんの件で参りました」

鳴瀬優真の視線が、瞬時に冷えた。

「鳴瀬社長が何を考えているか、分かります」林田明は一目で彼の警戒を読み取り、自嘲気味に口角を上げる。「安心してください。自分のキャリアを賭けてまで、そんな馬鹿はしません」

「例の告発文を外に流したのは、私じゃない。今日はあなたに話があって来たんです。夏目凛さんのこと、それから……あなたのことも」

鳴瀬優真は彼女を値踏みするように見つめたまま、何も言わない。

「ここじゃ話...

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