第84章 お前に何の権利があって俺の代わりに決めるんだ

国分家と橘家が……政略結婚?

親友が、自分の――法的には夫にあたる男のもとへ嫁ぐ?

夏目凛はスマホを握ったまま、その場に固まった。こみ上げてくるのは、理不尽さと吐き気に近い嫌悪感。

大きく息を吸い込み、胸の奥で渦巻く感情を無理やり押し込める。

だめだ。

橘彩花を、こんな泥沼に巻き込ませるわけにはいかない。

一刻も早く、きっぱりと――国分礼二と縁を切る。

……

翌日、会社。

デザイン部の空気は、出社した瞬間から妙に重かった。

誰もがある話題を避けている。けれど視線だけは、仮設の席に座る女へと、ちらり、ちらりと吸い寄せられる。何事もなかったかのように平然としている――夏目凛へ...

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