第88章 お前に何の権利があって俺の代わりに決めるんだ

タクシーの車内は、暖房が効きすぎるほどだった。

橘彩花は夏目凛の腕にしがみつき、肩へ顔をうずめたまま、くすくすと泣いている。雨に濡れた子猫みたいに、心細そうで。

「凛……ひどいよ。父さんがね、私が行かなかったら、カード全部止めるって……」

鼻にかかった声。悔しさと情けなさで、今にもまた涙がこぼれそうだ。

「私のこと、売るつもりなんだよ。あの、なんとかっていうクソみたいな提携のために!」

凛はそっと背中を撫でた。胸の奥に、重たい石が沈んでいるみたいに息苦しい。鈍い苛立ちが、じわじわと広がっていく。

国分礼二が――橘彩花にまで手を伸ばすなんて。

何が目的だ。

自分への報復か。それ...

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