第97章 彼は狂犬だ

――まさか……あいつ、今この下にいるってこと!?

橘彩花の胸がどすんと沈み、足裏から冷気が駆け上がって頭のてっぺんまで突き抜けた。

ほとんど反射で首をひねり、窓の外――墨を流したような夜の闇を見やる。

頭おかしい……! ほんとに、探し当てて来たっていうの!?

「どうしたの?」

夏目凛が箸を置き、顔色の変わった彩花を気遣うように覗き込む。

「な、なんでもない!」

橘彩花は泣き笑いみたいな顔を無理やり作り、スマホの画面をぱちんと消して背中に隠した。

「ただの……ただの迷惑メッセージ!」

落ち着け。落ち着け。頭を回せ。今ここで――凛に、国分礼二っていういつまでもつきまとうクズが下...

ログインして続きを読む