第2章

ゾーイ視点

 キャプションにはこう書かれていた。「二人の旅の始まり! 見に来てくれてありがとう❤️」

 動画に映っているのは寮の部屋だ。壁に飾られた紫のバナーからして、ワシントン大学で間違いない。マディソンは今より若く、髪も長かったが、その笑顔は変わらない。カメラがパンして、教科書が散乱した机を映し出す。そして、手が伸びてきてスマホを固定した。

「みんな、こんにちは」マディソンの声だ。「最初の動画へようこそ! これは私と……」彼女は笑った。「ええと、彼はカメラが苦手なの。でも約束する、彼の行動を見ればどんな人かわかるから」

 その手がカメラに向かって振られる。結婚の誓いを交わした時、私が握りしめたのと同じ手。今朝、アレックスが「行ってきます」のキスをした時に、私の頬に触れたのと同じ手だ。

 私は見続けた。電気ケトルでラーメンを作るマディソン、その後ろから抱きつくアレックスの腕。並んで勉強する二人、上の空で彼女の髪を撫でる彼の手。どこかの安いイタリア料理店でのデート、テーブルの上で絡み合う指と指。

 コメント欄は羨望の声で溢れていた。「二人とも超お似合い!」「マジで理想のカップル」「お願いだから絶対に別れないで、耐えられないから」「結婚式はいつ??💍」

 私は数ヶ月分の動画をスクロールした。一周年記念。新しいマンションへの引っ越し。祝日のパーティー。期末試験のストレス。サンファン諸島への旅行。

 動画はどれも健全で、甘い雰囲気だった。4万7千人もの人々がフォローボタンを押したくなるのも納得のコンテンツだ。

 そしてそれらは、完全なる、紛れもない「現実」だった。

 すべてが明らかだった。何気ない親密さ、無意識にアレックスに寄りかかるマディソン、まるで磁石のように引き寄せられて彼女の手を探し当てる彼の手。内輪ネタ、心地よい沈黙、あの狭いキッチンでお互いをかわしながら動く様子は、まるで一生そうして暮らしてきたかのようだった。

 アレックスは、これについて一度も触れたことがなかった。知り合ってからの三年間、ただの一度も。

 過去の恋愛について尋ねた時、彼は肩をすくめてこう言った。「真剣な付き合いじゃなかったよ。大学時代にいくつかあったけど、学位を取るのに必死だったから」

 真剣じゃなかった、だって。

 人気カップルチャンネルの片割れだったなんて一言も言わなかった。マディソンの名前すら出さなかった。

 スマホが震えた。アレックスからのメッセージだ。「今夜は遅くなる。帰宅は8時か9時になりそうだ。夕飯、何か買って帰ろうか?」

 私はその画面を長い間見つめてから、返信を打った。「ううん、もう食べたから」

 私はアカウントに戻り、あの「破局動画」をもう一度探した。

 動画を何度も、何度も再生した。

 二人はすでに出会い、三年間付き合い、別れ、そして翌朝投稿されたこの動画によれば、私が間抜けにも二人を引き合わせたその瞬間に、復縁していたのだ。あまりにも激しい動悸で胸が苦しくなり、私は手のひらを胸に押し当てた。

 私はさらに新しい動画をスクロールし続けた。ご丁寧にも日付と時刻のスタンプが押されている。マディソンはそれを可愛いと思っていたのだろう。完璧なカップルの瞬間がいつ撮影されたかを示す、隅っこの小さなタイムスタンプを。

 私はそれらを自分の記憶と照らし合わせ始めた。

 半年前、午前6時47分に投稿された動画。無造作なお団子ヘアのマディソンがパンケーキを作っていると、後ろからアレックスの腕が伸びてきて腰に回り、彼女を胸元へと引き寄せる。彼女は笑って顔を上げ、彼の顔は見えなくても、キスをしたのが分かった。

 その日の朝、アレックスは顔を紅潮させて7時半頃に帰宅し、私の額にキスをした。「走ってきたんだ」と彼は言った。「頭をスッキリさせたくて」

 三ヶ月前の動画には、薄暗い深夜の映像が残っていた。テレビ画面の明かりだけが頼りで、マディソンはソファの上で誰かの肩――アレックスの肩に頭を乗せて丸くなっている。彼の手は彼女の髪を弄り、指を絡ませていた。画面に何が映っていようと関係ないようで、数秒おきにお互いの方を向き、優しくゆっくりとキスを交わしていた。

 その夜のことも覚えている。私はひどい熱とめまいで最悪の気分だったから。真っ先にアレックスに電話したけれど、すぐに留守番電話になった。次に、マディソンなら救急外来まで送ってくれるかもしれないと思ってかけたけれど、彼女の電源も切れていた。

 私は一人でタクシーを呼び、39度近い高熱の中、救急外来の待合室で3時間も座っていた。看護師が私の前の人たちを呼び出すのをただ聞いていた。家に帰り着いたのは、もう午前3時近かった。

 翌日、アレックスは謝ってきた。「充電が切れちゃってて、本当にごめん。死んだように眠ってたんだ」

 マディソンからもメッセージが来た。「うそ、本当にごめんねゾーイ! マナーモードにしてたの。大丈夫??」

 でも二人は眠ってなんていなかった。あのソファで一緒にいて、キスをしていたのだ。私が病院の待合室で、たった一人座り込んでいたあの時間に。

 フォロワー欄をタップすると、見たことのない非公開アカウントから、アレックスの顔が私を見つめ返してきた。

 一方、マディソンの投稿は非公開ではなかった。フォロワーが一人だけなら安全だと思ったのか、あるいは単に愚痴を吐き出す場所が必要だったのかもしれない。投稿は何年も前、何百件にも遡れたので、私はスクロールを始めた。

 2022年9月、「彼の両親はまだ認めてくれない。説得中だって彼は言うけど。私、あとどれくらい待てばいいの?」

 2022年11月、「また喧嘩。覚悟を決められないなら終わりにしようって言った。彼は泣いた。本当に泣いたの。私を失うなんてできないって」

 2023年3月、「もう終わり。これ以上は無理。彼は私じゃなくて、あっちを選んだ」

 それが別れだったに違いない。その後数ヶ月間、更新が途絶えたからだ。

 2023年10月、「今日、彼に会った。心臓が止まるかと思った。ああ、もう吹っ切れたと思ってたのに」

 2023年10月、「何時間も話した。私のことを片時も忘れたことはないって。間違いだったって言ってた」

 彼女が地下鉄で「偶然」私と出会う直前のことだ。

 2023年11月、「今日、彼女に会った。いい人そう。吐き気がする」

 喉が詰まるような感覚に襲われた。

 2023年12月、「思っていたより辛い。彼女は私を完全に信用してる。何も知らないの」

 2024年2月、「彼はもっと時間が欲しいって言う。時間。あとどれくらい? 私はずっと耐えてきた。いい子にしてた。これ以上、私に何を求めてるの?」

 2024年4月、「大喧嘩した。もう秘密の存在でいるのは嫌だって言った。彼は行かないでって懇願してきた。何とかするからって。もう疲れた」

 投稿は次第に悲痛なものになっていった。苛立ち、それと同時に、自分の役割を受け入れたような諦めも混じっていた。

 2024年7月、「今日、彼女が私を親友と呼んだ。親友、だって。私は笑って、私もだよって答えた。反吐が出そうだった」

 私はスクロールを続け、一ヶ月前の最新の投稿に辿り着いた。写真は暗く、明らかに照明を落とした状態で撮られたもので、マディソンとアレックスがベッドで、腰までシーツを被っているのが写っていた。マディソンは彼の素肌の肩に頭を乗せ、彼は彼女に腕を回している。顔ははっきり見えないが、それだけで十分だった。

 キャプションにはこうある。「彼が愛してるって言ってくれるなら、私は待ち続けられる」

 一ヶ月前。私は一ヶ月前に何があったか、この写真が撮られた時に自分が何をしていたか、記憶を辿った。

 インフルエンザだ。ベッドから起き上がれないほど酷いインフルエンザにかかった時だ。その日の夕方、マディソンから電話があった。弱々しく、掠れた声だった。「ゾーイ、邪魔してごめんね。でも私も具合が悪くて、一人ぼっちなの。もしよかったら……アレックスに薬を持ってきてもらえないかな? ゾーイにうつしたくないから」

 私はひどい罪悪感に苛まれた。彼女は苦しんでいるのに、私自身も病気で助けてあげられないなんて。だからアレックスに言ったの。「もちろん。誰かがそばにいてあげなきゃ」

 彼は八時頃に出て行き、十一時過ぎに帰ってきた。

「かなり具合が悪そうだった」帰宅した彼は言った。「スープを作ってやったよ。眠るまでついててあげた」

 彼は三時間も出かけていた。そして帰宅すると、私の隣でベッドに入り、腰に腕を回し、まだ彼女の匂いを漂わせたまま、私の肩にキスをしたのだ。

 一ヶ月前の深夜に投稿された、別の動画を見つけた。タイトルは「深夜の深い話」。

 再生するのを躊躇った。この動画の中身を見てしまえば、もう二度と後戻りできないと、どこかで分かっていたからだ。それでも私は再生ボタンを押した。

 画面には薄暗い照明と、乱れたシーツが映っていた。顔は見えないが、体と動きが見て取れる。マディソンの声は息混じりで、今にも壊れそうだった。「誰を一番愛してるの?」

 沈黙。ただ息遣いと衣擦れの音だけ。

「答えてよ!」声が裏返る。「私のこと、愛してないの?」

 泣き声が聞こえた。

 そしてアレックスの低く、しゃがれた声。「泣くなよ」

「言って。お願い。誰が一番好きなの?」

「君だ。俺が一番愛しているのは、君だよ」

 マディソンの泣き声が、笑い声のようなものに変わった。「言ったね。私が一番だって言った。だから他の誰も愛しちゃだめ、いい? 約束して」

「分かってる」

「口に出して。約束して」

「約束する」

 動画が終わった。

 私はスマホをベッドの横に置いた。手はもう震えていなかった。もう泣いていなかったからだ。涙は三つ目の動画あたりで枯れ果てていた。

「俺が一番愛しているのは、君だよ」

 アレックスは私に何度愛していると言っただろう。そして私は、何度それを信じただろうか。

 鍵が開く音がした。

「ただいま!」玄関からアレックスの声が響く。「夕飯、何がいい?」

 私はソファに座り、虚空を見つめていた。

 アレックスがリビングに入ってきて、足を止めた。「ゾーイ、大丈夫か? 目が赤いぞ」

「ドラマを見てたの」私は言った。「結末がすごく悲しくて」

 彼は心配そうに私の隣に座った。「なんのドラマ?」

「夫と親友に裏切られる女性の話よ」私は彼の顔をじっと観察した。「彼女はどうすべきだと思う?」

 アレックスはほとんど躊躇わずに答えた。「別れるべきだね、当然。そんな奴ら、相手にする価値もない」

「そう?」

「もちろんだよ。そんな風に裏切るような人間に、許される資格なんてない」

 私はゆっくりと頷いた。「アレックス、私のこと愛してる?」

「なんだよ? もちろん愛してるさ」彼は私の手を取った。「急にどうしたんだ?」

「私に隠し事はない?」私は彼の目を真っ直ぐに見つめた。「何か隠してることはない? 今話してくれれば、許せるから。約束する」

 これが最後――彼にとってのラストチャンスだった。正直に打ち明け、私たちの間に残されたわずかな何かを救えるかもしれない、唯一の瞬間。

 アレックスは私の手を握り締め、私が三年間愛してきたその茶色の瞳で私を見つめ返した。

「ないよ」彼は言った。「君に隠し事なんてない、ゾーイ。嘘をついたことなんて一度もないだろ」

 私は長い間彼を見つめ、手を引き抜いて立ち上がった。「疲れたわ。今日はもう寝る」

「俺も一緒に――」

「いいえ。ただ眠りたいだけだから」

 寝室に向かい、ドアを閉め、鍵をかけた。ベッドの端に座り、スマホを見つめる。

 録音アプリを開く。たった今の会話が、そこに保存されていた。

 彼にはチャンスがあった。真実を話す最後の機会を、私は与えてあげたのだ。そして彼は、嘘をつくことを選んだ。

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