第102章

千枝は全身の筋肉を強張らせていた。他の社員たちも似たような状態だ。

いち早く我に返った晴美が声を上げる。

「九条社長!」

「九条社長」

他の面々も慌てて挨拶を済ませると、逃げるようにその場を立ち去っていく。

晴美は千枝に同情の視線を向けつつ、最後はそそくさと小走りで消えていった。

悠が怒っているのは、彼女にもはっきりと伝わってきた。

まさか、千枝が遅刻しただけで? いくらなんでも鬼畜すぎないか。

浮気されただけでも十分悲惨なのに、その上上司にまで怒られるなんて、泣きっ面に蜂だ。

千枝はぎこちなく振り返った。

「九条社長、おはようございます」

悠は何も言わず、ただじっと彼...

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