第百七章

和也は手を宙に浮かせたまま、信じられないという顔で千枝を見つめた。

「千枝、俺、俺はわざとじゃないんだ。ごめん、俺はただ、ただ……」

「どいて!」

千枝は膝を曲げ、和也の股間めがけて思い切り蹴り上げた。

和也が無意識に半歩下がった隙を突き、千枝は素早く彼のスマホを拾い上げ、暗記している番号を発信した。

「和也、この最低野郎! 近づかないで!」

彼女は喉が裂けんばかりに叫び、両腕を振り回した。

バシッ!

スマホが和也に叩き落とされた。彼は凶悪な目を千枝に向ける。

「誰に電話するつもりだ? 俺のスマホで? 千枝、ふざけるなよ!」

突然、千枝の首がぐんと締め付けられ、息が詰まっ...

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