第百八章

警察と和也が驚愕したのはもちろん、枡岡藍里でさえ現状をうまく呑み込めていなかった。

聴取が終わると、悠は千枝を抱き上げたまま立ち上がった。

「連れて帰る」

「九条社長、車を出します」

枡岡藍里が慌てて立ち上がったが、悠は車の鍵だけをさっと奪い取った。

「お前は空港へ行け。隣市のプロジェクトは任せる。俺は先に帰る」

千枝を抱いたまま歩き出し、悠はさらにこう言い残した。

「プロジェクトのボーナスは秘書室の功績にしておく」

つまり、千枝と雪花にも同じように歩合が入るという意味だ。

枡岡藍里は何度も頷きながら、こっそりと千枝に視線を送った。

悠がなぜ高給を叩いて自分と雪花を引き抜...

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