第12章

和也は一瞬きょとんとしたが、すぐに笑って彼女の肩を抱き寄せようとした。

「またまた、冗談ばっかり」

千枝は身をかわし、さりげなくその手を避けた。

「会社なんだから、少しはわきまえてよ」

面子を潰された和也は少しムッとしたようだが、社内ということもあり、愛想笑いを崩さなかった。

「はいはい、君の言う通りにするよ」

その声は小さくなく、周囲にいた多くの同僚たちの耳にも入っていた。

同僚たちは目配せをし合い、ひそひそと囁き始める。

「九条社長の愛人かと思ったら、彼氏持ちだったのね」

「九条社長が女嫌いなの知らないの? 愛人なんているわけないでしょ」

「元々はデザイン専攻なのに、...

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