第14章

千枝は手持ち無沙汰に、また『九条社長トリセツ』をパラパラと見返した。

それは彼女がこっそりそのノートにつけた名前だ。

悠には確かに細かいこだわりが少なくない。たとえば、コーヒーや紅茶以外では、普段は白湯を好んで飲むことなどだ。

初めて会ったとき、悠が保温ボトルを持っていたことを思い出し、千枝は思わず身震いした。

バーに保温ボトルを持参するなんて、嫌でも印象に残る。

あのボトルがなければ、千枝も彼を気に留めることはなかったかもしれないし、その後のあの一夜の過ちもなかったかもしれない。

他の項目に目を移すと、千枝はますます言葉を失った。

同じデザインのスーツとシャツを必ず三着以上用...

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