第29章

『制服』

千枝は言葉を失った。

そう、今の自分はどういう立場だ?

ハッキュウ宝飾の社長秘書。つまり、会社の顔なのだ。

みすぼらしい格好をしていれば、会社のイメージダウンに直結する。

そう考えると、少しだけ気が楽になった。

店員は汚れた服を丁寧に包み、クリーニングに出しておきますと気を利かせてくれた。店舗のVIP顧客限定のサービスらしい。

金持ちの生活ってすごい、と心の中で呟きながら、千枝は本来なら受けられないはずの厚遇を黙って受け入れた。

悠は会社の住所を伝え、クリーニングが終わった服と購入したスーツを一緒に届けるよう指示すると、千枝を連れて隣の五つ星レストランへ向かった。

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