第53章

由衣の様子を見て、千枝は彼女が和也に報告しに行ったのだろうと察しがついた。

おそらくすぐに自分のスマホが鳴り、和也から連絡が来るはずだ。

だが、十数分経っても和也からの電話はなく、由衣も戻ってこなかった。

綾子が小声で尋ねてきた。

「ねえ、由衣って本当に彼氏と別れたのかな?」

「別れてないよ」

千枝はきっぱりと言い切った。

綾子はなぜそんなに断言できるのかと聞こうとしたが、ふと千枝の後ろを見て目を丸くした。

彼女だけではない。店内の客全員が入り口の方向に視線を向け、ステージ上のマッチョなダンサーたちでさえ踊るのをやめていた。

千枝が訝しげに振り返ると、和也が抱えきれないほど...

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