第60章

悠が振り返った瞬間、千枝は怯えたようにうつむいた。

「さっき、なんて言った……」

彼女は本当に悠を恐れていた。前回は綾子が彼のことを悪魔だと言ったからまだしも、今回は自分自身の口で、彼が気分屋だと言ってしまったのだから。

気まずい沈黙が落ちた。悠は彼女が怯えているのを見て、それ以上は何も言わなかった。

幸いにもその時、LINEの通知音が鳴った。千枝は慌てて画面を確認する。

「社長、車田さんが明日、私のデザインを見に来たいそうです。明日の午前中でよろしいでしょうか」

そこへ梨乃も足早に近づいてきた。

「エレベーターに乗るわよ」

千枝はすぐにボタンを押し、三人は揃って専用エレベー...

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