第61章

悠がオフィスに戻ってきたとき、時刻はすでに午前一時を回っていた。

千枝はデスクに突っ伏したまま、静かに寝息を立てている。その小さな顔はほんのりと赤く染まっていた。

どんな夢を見ているのか、全身の力が抜けきって、口元には笑みまで浮かんでいる。

悠は口角を上げ、近づいて彼女の肩を軽く揺すった。

「雪見秘書、起きろ。首が痛くなるぞ」

千枝はまどろみの中で悠の声を聞いた気がした。意識は少し浮上したものの、体はまだ眠りに引きずられている。彼女は本能的にデスクの上の夜食を指さした。

「九条社長、ご飯……」

薄目を開けて身を起こす。なぜか悠の顔を見た途端、ピルのことが頭をよぎり、無意識に尋ね...

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