第72章

千枝が断る隙も与えず、悠はすでにエレベーターに乗り込んでいた。

友人がトラブルに巻き込まれているかもしれないと思うと、千枝も腹を括って後を追うしかなかった。

ただ、一階に降りても、彼女は悠に車を出させなかった。

「九条社長、あなたの車は目立ちすぎます。万が一のことがあったら、難癖をつけられて金を巻き上げられるかもしれません」

先ほどの綾子の話から、千枝にはおおよその見当がついていた。

おそらく、和也が由衣に贈ったプレゼントは本物と偽物が入り混じっていたのだろう。由衣がその一部を転売し、偽物だと気づいた相手がクレームをつけてきたに違いない。

綾子も沙百合も義理堅い性格だ。ルームメイ...

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