第74章

勢いよく振り返ったせいで、千枝は右足で左足のスリッパを踏んづけてしまった。バランスを崩し、そのまま床へ向かって倒れ込む。

ドンッ!

タイルの床に膝を強く打ちつけ、あまりの痛みに涙がどっと溢れ出した。

「大丈夫か?」

悠が慌てて駆け寄り、彼女を抱き上げて、そっとソファに座らせる。

千枝の膝は真っ赤に腫れていた。前の擦り傷がようやく治りかけていたのに、また怪我をしてしまった。彼女は乱暴に涙を拭い、こぼす。

「本当についてない」

実際、彼女は本当についていなかった。

和也の浮気を知ってからというもの、ずっと不運続きのような気がする。

実害こそないものの、精神的なダメージが大きすぎ...

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