第77章

なぜ和也を選んだのか。

千枝自身も考えたことがある。もしかすると、単なる一目惚れだったのかもしれない。なんといっても初対面の和也は目を奪われるほど格好良く、その爽やかな笑顔を千枝はずっと忘れられずにいたのだから。

それに、和也は表面的には彼女を十分に尊重してくれていた。関係を急ぎたくないという千枝の意思を汲み、彼が境界線を越えてくることは一度もなかった。

以前、由衣がこんなことを言っていた。男にとってセックスと愛は別物で、抱かれたからといって愛されているとは限らない、と。

けれど、愛しているからこそ手を出さずに耐えてくれるなら、それは間違いなく本物の愛だ。

かつての千枝も、その言葉...

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