第八十章

騒動はあっけなく幕を閉じた。幸い、宗則もさして気にしていない様子だった。

ただ、帰り際に彼からひと言だけ忠告を受けた。

「雪見秘書、君のあの彼氏はあまり感心しないな。石川宝飾の盗作騒動については、君も知っているだろう」

「君はまだ若い。付き合う相手は慎重に選んだ方がいい」

千枝は笑顔でお礼を言ったが、内心は複雑だった。

会議室での騒動は、瞬く間に社内のグループチャットで広まった。

『嘘でしょ? 雪見秘書の彼氏、狂犬なの? 彼女を道連れにして何の得があるわけ?』

『男って優秀な女が好きなくせに、結局は家に閉じ込めて専業主婦にさせたがるのよね』

『いや、絶対何か恨みがあるんだよ。...

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