第86章

結局、千枝は悠に連れられて別荘へ戻ることになり、後始末は忠志に任された。

車を降りる段になって、千枝は左足の痛みに気づいた。視線を落とすと、足首が赤く腫れ上がっている。これでは力が入らないわけだ。

その足首に目を留めた悠は、有無を言わさず彼女を横抱きにした。

「九条社長、降ろしてください」

誰かに見られはしないかと、千枝は周囲をきょろきょろと見回した。

だが、その態度が悠の苛立ちをさらに煽った。

和也とはすでに別れたというのに、自分と一緒にいるところを見られるのはそんなに不都合なのか。

彼は千枝をきつく抱き寄せたまま、無言で寝室へと向かった。彼女をベッドに下ろすと、今度は救急箱...

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