第96章

由衣はどうしていいか分からないといった様子で、それでも和也の前に立ち塞がった。

「誤解しないでください。和也と千枝はとっくに別れていて、私が彼の彼女なんです」

由衣の声は泣きじゃくるように震えていた。彼女は涙をこらえながら千枝を見つめる。

「千枝、一番の親友だもん。私たちのこと、祝福してくれるよね?」

「和也がお酒に弱いのは知ってるでしょ。さっき飲みすぎちゃって、それで私たち……」

言葉を濁すその態度を見れば、嫌でも状況は察せられる。

和也だけがその場で呆然としていたが、我に返るとすぐさま千枝の方へ歩み寄った。

「違うんだ、千枝、話を聞いてくれ! こいつが誘惑してきたんだ。俺た...

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