第12章 古銭

「これらの銅銭が好きなのか」中川裕大は眉をひそめて尋ねた。「これは骨董品と呼べるようなものではないだろう。もし骨董品が好きなら、私の家には書画や器物がたくさんあるから、君にあげてもいい」

原田麻友は箱いっぱいの古銭を見つめ、紺色の瓜皮帽をかぶった店主に尋ねた。「すみません、これはおいくらですか」

店主は竹の寝椅子に座り、扇子を仰いでいた。まるで俗世離れした達人のような風貌だが、口から出た言葉は非常に俗っぽかった。

「五百万」

原田麻友が口を開く前に、中川裕大が飛び上がった。「強盗じゃないか! こんなガラクタが五百万だと! 買わないぞ!」

彼が言い終わるや否や、原田麻友は彼に向かって...

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