第293章 手作りの花束

「デートじゃない」

「中山渚を療養所に送ったんじゃないの? どうしてこんな時間まで帰ってこなかったの?」

 原田麻友は何がおかしいとも思わず、平然と答えた。「療養所に行った後、映画館で映画を見て、それから夕食を食べに行ったの」

 山口理沙はゴシップ好きらしく、にひひと笑った。「それってデートじゃない!」

「デートじゃない」

 彼女は脇へ歩いていき、古銭の花束を棚に置くと、くるりと身を翻して寝室へ向かった。

 山口理沙はあっけにとられ、慌てて尋ねる。「その花、そこに置いちゃうの?」

「うん! 古銭には家を鎮める効果があるから、あの方角が一番いい」

 山口理沙は「……」となった。...

ログインして続きを読む