第305章 ボールを打つ男の子

向井辰也はリュックを背負い、さらに毛布を三枚も腕に抱え、歩きながらカメラに向かって紹介を始めた。

「山の上の空気はやっぱりいいですね」

「星も見える。カメラを上に向けてみんなにも見せてあげましょう。すごく綺麗じゃないですか」

「ずっと都会にいると、たまにはこうして大自然に戻って、自然を感じるのもいいものです」

カメラは再び向井辰也を映し出した。

向井辰也が紹介を続けようとしたその時、彼を撮影していたカメラマンが後ろに下がる際に、危うく転びそうになるのが見えた。

「気をつけて」向井辰也はカメラマンを支えたが、カメラマンの体が微かに震えていることに気づいた。

彼の方を見ると、カメラ...

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