第450章 私は本望だ

原田麻友が呪符を放つと、十数枚の札が一斉に赤い蛾へと飛んでいった。だが、蛾は目にも留まらぬ速さで空を舞い、呪符が紅い霧に触れた瞬間、たちまち灰と化してしまった。

その光景を、渡部建は焦燥に駆られながら見つめていた。

原田麻友の呪符がいかに強力か、彼はその目で何度も確かめてきたのだ。

にもかかわらず、あの蛾は彼女の呪符を少しも恐れていない。

原田麻友はすかさずまた十数枚の呪符を投げ放ち、自分と田村玲央を紅い霧から隔絶した。

霧はなおも周囲へと広がっていく。

原田麻友はホテルの周囲を見回した。

五つ星ホテルであり、夜ということもあって、行き交う人は少ない。

少ないとはいえ、無人と...

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