第480章 閻魔殿

佐野陽菜も時刻を一瞥し、「麻友さん、もうすぐ夜が明けます」と告げた。

原田麻友はうなずく。

賢二の両親もまた、原田麻友に付き添って一晩を明かしていた。

さらに数分が過ぎる。

原田麻友は床に灯された北斗七星陣の灯明へ視線を落とした。灯油はもう、尽きかけている。

――そのとき。

戸の外から、理由もなくふっと風が吹き込んだ。ひゅう、と灯明が揺らぐ。

北斗七星陣の灯明は、風程度で揺らいだりしない。揺らぐとすれば――

武藤おばあさんが、冥界で何かあった。

原田麻友は立ち上がり、武藤おばあさんの前に進む。口の中で呪を唱えながら、もう一方の手で武藤おばあさんの中指を掴み――

「武藤彩佳...

ログインして続きを読む