第500章 憑依

相葉百花はその光景を目にした瞬間、全員の鼓膜を突き破るような悲鳴を上げた。

「麻友さん! 私、憑いてもらう方で! 憑いてもらう方を選びます!」

原田麻友は淡々と言う。

「鬼は善人に憑き、犬は貧乏人に噛みつく……そういうものです。たいてい、憑く相手は自分より弱い」

「もしあなたが相手より弱いまま憑かれたら、何も感じないまま利用されるだけ」

「でも、今のあなたは陽気が強い。気迫も勝ってる。向こうはあなたに憑けません」

原田麻友の言葉を聞くうちに、相葉百花の胸の奥で暴れていた恐怖が、少しずつ鎮まっていった。

外の鬼は怖い。けれど、部屋の中の鬼は――自分を怖がっている。

よかった。

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