第514章 本当のことを一言も言わない

レストランは、ふっと息を呑んだように静まり返った。

傍らに控えていた使用人たちも、古川も、一瞬だけ表情を固める。古川は場の空気をひと目で測ると、使用人に向かって軽く手を振った。全員を下がらせ、自分もまた別の位置へ移る。レストランの様子は見えるが、会話の内容までは届かない距離――そこで立ち止まり、細く息を吐いた。

旦那様も奥様も、今ここで何が起きているかを正確には掴めていない。だが外の人間である自分には、手に取るようにわかる。

原田渉は最初から、この瞬間のために用意してきた。問題は――彼が欲しい結末が、いったい何なのかということだ。

若くして権を握り、沈着で、底が読めない。あの人が本気...

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