第525章 弁空

霊泉は寺の山腹にあり、泉の口は小さくひとつだけ。その傍らには異形めいた奇岩が林立し、奇岩の奥には十平方にも満たない古びた小屋がぽつりと建っている。

小屋の脇には、二人がかりでようやく抱えられるほどの古木。

霊泉のせいだろう、あたりの地面はじっとり湿り、岩肌は青苔に覆われていた。

大野佳奈はカイドウにたっぷり霊泉をかけてから、近くの石の上へ置き、懐かしそうに周囲を見回す。

「私の住んでた場所、もうとっくに壊されてると思ってた」

修寧は薄く笑った。

「山腹はこれ以上いじれませんから。手を入れていないだけです」

大野佳奈:「……」

「ご安心ください。先生のお住まいは、いつも専任で掃...

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