第627章 理由もなく偏愛する

「モーリス、こちらが原田麻友よ」

モーリスは笑いながら言った。

「今の俺に原田さんなんて見えるわけないだろ。目に入ってるのは君だけだ」

原田日菜は頬を赤くして声を荒げる。

「な、何言ってんのよ! 海外の人ってほんと大胆なんだから!」

そう言うと、慌てて原田麻友へ向き直った。

「麻友、ごめんね! さっきのはモーリスがどうしても会いたいって言ってて……私、まさかあんな……」

口では申し訳なさそうにしながら、その瞳にはどこか得意げな色が混じっている。

原田麻友は、日菜しか見えていないモーリスを一度見て、それから満足げな原田日菜を見た。

視線を落とし、数秒。ふっと顔を上げる。

「...

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