第66章 定言の呪文

原田麻友は小林局長らに続いて刑事捜査隊に到着すると、そこには中村尚人がいた。

刑事捜査隊の者たちはまだ中村尚人を取り調べており、まずは法律で脅しつけ、次は減刑をちらつかせて誘いをかけていた。

しかし、中村尚人は終始動じることなく、文化財については一言も口を開かない。

刑事捜査大隊の隊長である二宮潤は、眉間に深い皺を刻んだ。「この中村尚人、殺人事件についてはあっさり認めたくせに、文化財のことになると、やけに口が堅い」

「調べましたが、この中村尚人は愛人は多いものの、子供はいません」

「脅迫されている可能性は低いはずです」

小林局長たちは皆、原田麻友に視線を向けた。「原田麻...

ログインして続きを読む