第699章 あなたのお父さん、私

原田啓太は原田麻友の視線の先を追った。だが、そこにあるのは空っぽの二人掛けソファだけ。眉間にしわを寄せる。

「年上が話してるのに、どこ見てんだ?」

外で育ったからか、やっぱり躾がなっていない。

「お前、それで年上のつもりか? 小さい頃、俺はそう教えたか?」

リビングに、不意に落ち着いた男の声が響いた。

「だ、誰だ……誰が喋った?」

聞き覚えがある。なのに、どうしても思い出せない。

原田彩子は顔を強張らせ、原田麻友を見た。

この孫娘には、どこか“妙なもの”が憑いている――そういう噂は聞いていた。

まさか、本当だったなんて。

「誰だ! お父さんが――」

声が途切れた瞬間、二...

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