第725章 息子が死んでも父は死なず

背後では、怒鳴り声と泣き声が入り混じっていた。

原田渉はスマホを握りしめたまま、少し離れて「……うん」とだけ返す。

「まさか、原田日菜がじいさんに手ぇ出すとは思わなかった」

誰が想像できる。

原田彩子が泣きながら電話してきたとき、みんな――ばあさんが何かに憑かれた、悪いものでも呼び込んだのだと、本気で思った。

なのに。

原田日菜の底は、彼らの想像よりさらに下だった。

渉は眉間を指で押さえた。

「俺はてっきり、俺たち三兄弟のほうに来ると思ってたんだが……」

受話器の向こうで、原田麻友も沈黙した。

彼女も同じだった。

原田日菜の運命の赤い糸が結びつけた相手は、揃いも揃って若...

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