第74章 美しさの驚き

彼女は原田麻友の手首を掴むと、すごい勢いで自分の墓の前まで引きずっていき、石碑の文字を指差した。「よく見て! これは数千年も前に先生が自ら刻んだ符文なのよ!」

原田麻友は彼女を一瞥し、頷き続ける。「解ける」

山口理沙「……」

彼女は甲高い声を上げて崩れ落ちた。その声は鼓膜を突き刺すほど鋭い。

「解けるなら、どうして教えてくれなかったのよ!」

原田麻友は訳が分からないといった様子で言った。「訊かれなかったから」

「訊かなかったら、言おうと思わないわけ? 私はこのクソみたいな場所に数千年も閉じ込められてたのよ! 数千年よ! それでようやくこの符文の力が少しだけ緩んで、この村の近くを歩...

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