第756章 時機が来た

別荘の中で、原田啓太はそっと自分の胸を叩いた。

よかった、よかった。引っかからずに済んだ。

……ただ、惜しい。

あの場で二人を押さえられていれば、自分にかかっている疑いも晴らせたのに。

まったく……。

車内。原田弘は振り返り、そこに立ち尽くす原田日菜を一瞥した。複雑な色を帯びた視線。

妻はまだ家に戻ろうとしない。いまだに自分を疑っている。

ここで、原田日菜をかばったことが妻の耳に入ったら、どんな誤解をされるか――。

……惜しい。

あのとき、止まるべきじゃなかった。

父が原田日菜に遭遇すれば、間違いなく手を貸したはずだ。

そうなれば、疑いは晴れた。

原田弘は拳を握り、悔...

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