第774章 このチャンス

渡部建は左を見、右を見——部員の姿は一人もない。仕方なく、自分で口を開いた。

「どういう意味だ?」

原田麻友は淡々と語る。

「大道というものは本来五十。でも天が動かすのは、そのうち四十九だけ。だから“完全な行き詰まり”なんてものはなくて、本当の出口は、あえて余らせておいた『一』の中にある。この『一』は、天地が開く前の太極。そこから陰と陽、二つの気が生まれ、二が向き合うことで天地万物——あらゆる“変化の可能性”が立ち上がる。その変化の吉凶は半々。たとえ詰んだように見える局面でも、大道は必ず『一筋の活路』を残す。そして、その一筋の活路は、誰かに教わるものじゃない。自分で悟り取るしかない」

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