第782章 私の気性

喧噪でにぎやかなロビーが、一瞬だけ静まり返った。視線という視線が、ゆっくり歩み寄ってくる女へ吸い寄せられる。

「うわ、綺麗……!」

「こんな美人、どこから……!」

「どこのお嬢様だよ!」

「品があって、いかにも……」

どよめきの中、梶岡雪子がすっと前へ進み、まっすぐ田村玲央の前で足を止めた。

真紅のロングドレス。作り込まれたメイクは艶やかで、視線を上げただけで男たちの目を釘付けにする。

「誕生日プレゼントよ。気に入ってくれるといいんだけど」

小さなギフトボックスを差し出す。

「毛糸で、あなたの人形を編んだの。私の手で」

言わなかったことがある。実は二体、作った。

彼の分...

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