第817章 帰ってもなお胎気

定天観では、結局なにも掴めなかった。

渡部建は部署の面々を連れ、周辺を細かく洗い直している。

原田麻友は人目のない場所まで移動すると、冥府の帳簿を取り出し、唇で呪を紡いだ。

瞬き一つ。次の瞬間には、冥界に立っていた。

現れたばかりの彼女が数歩進むか進まないかのところで、白黒無常が慌ただしく駆けてくる。

「先生がお見えだ!」

「先生、冥界にいらっしゃるのはお久しぶりですね。今回は……」白無常が怯えるように原田麻友の背後をうかがう。だが、そこにはなにもいない。

ほっとしたのも束の間、すぐに顔が強張った。

「まさか、また大ごとですか?」

黒無常も同じように、原田麻友の表情を食い入...

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