第83章 死体の断片

田村会館は広大で、前後に庭園があり、さらに大小三棟の別荘が建っていた。

一番大きな別荘は、常に田村家の人々が住居として使っている。

右手の別荘は来客用だ。

そして左手の別荘には、会館の従業員たちが住んでいた。

原田麻友は田村悠衣の許可を得ると、あたりを見回すこともなく、まっすぐ右手の別荘へと向かった。

別荘は百年前の建築で、年代物の趣がある。

斉藤さんは彼女の後ろについて歩きながら言った。「現在、こちらにお泊りのお客様はいらっしゃいませんが、毎日清掃はしております」

この別荘は母屋とは異なり、内装は豪華ではあるものの、成金趣味のような派手さがいくぶんか強く出ていた。

田村悠衣...

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