第865章 黒竜

梶岡雪子は助けを求めるように田村玲央を見た。

田村玲央はちらりと彼女を一瞥しただけで、原田麻友へ視線を移す。

「先に車で君を送る。……彼女のほうは警備が——」

言い終える前に、原田麻友が梶岡雪子へ真っすぐ歩み寄った。

梶岡雪子はその表情にひっと息をのむ。反射的に後ずさろうとして、しかし浩太郎に脚へしがみつかれていて動けない。

「誰が、お前に梶岡礼奈に何かあったって吹き込んだ?」

梶岡雪子が固まる。

原田麻友は重ねて問う。

「誰だ」

梶岡雪子は目線を逃がしてから、強がるように言い返した。

「なんであんたに言わなきゃいけないのよ。礼奈は私の妹よ? 妹に何かあったなら、知ってた...

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