第88章 私の命、価値がある

三十分後、田村玲央の魂体が階上からふわりと降りてきた。

田村亮太夫妻も書斎から下りてくる。

「麻友ちゃん! うちの玲央のこと、よろしくお願いね」原田麻友の姿を見るやいなや、田村悠衣はその手を取り、彼女を上から下まで眺め回すと、優しく慈愛に満ちた笑みを浮かべた。

原田麻友:「……はい」

彼女は田村悠衣のこの熱意に、どこか奇妙なものを感じていた。

田村亮太もまた以前のようなよそよそしさはなく、笑みを少し浮かべて言った。「玲央が言っていた。この間は麻友ちゃんのおかげで、さもなければあいつはとっくにどうにかなっていた、と」

彼は再び小切手を一枚取り出した。「君がお金に困っていないのは知っ...

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