第120章 元カレ

「圭はまだなの?」

 パーティの喧騒の合間を縫って、鈴木蛍は入り口の様子を見に行き、受付係の賢一に問いかけた。

 これで五回目だ。

 鈴木蛍はここ最近の藤原圭の態度を思い返し、胸の奥で得体の知れない不安が渦巻くのを感じていた。

 これまで何度も結婚を迫ってきたが、彼は決して首を縦には振らなかった。だからこそ、鈴木蛍にはもう後がない。今日の誕生パーティという衆人環視の状況を利用し、外堀を埋めて彼に決断を迫るしかなかったのだ。

 それに昨夜、彼女はとっておきの切り札も切っている。

 幼い頃のあの約束さえ彼が覚えているなら、必ずや求婚してくるはずだ。

 だが、宴の開始時刻は目前に迫っ...

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