第121章 放棄

「藤原圭、彼の戯言を聞かないで! こんな人、全然知らないわ。今日初めて会ったのよ!」

「確かか?」

 藤原圭の瞳に、危険な光が宿る。

「ええ、確かよ」

 鈴木蛍は焦燥を滲ませて答えた。

「だが俺の記憶では、三年前、お前はこう言っていたはずだ。こいつは鈴木瑠璃の元カレだと。長いこと同棲して、瑠璃は彼のために堕胎までしたと。そう言ったのはお前だろう?」

 鈴木蛍は瞬時に狼狽した。三年前の言葉など覚えているはずもない。まさか藤原圭がそこまで鮮明に記憶していたとは。

 心の中に瑠璃などいないと言っていたくせに。

 鈴木蛍は慌てて謝罪の言葉を並べた。

「ごめんなさい。ごめんなさい、圭...

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