第258章 迷惑電話

しかし、緋千夜は藤原真一と葉との温かなひとときに浸りきっており、スマートフォンの振動などまるで気づいていなかった。彼女の胸は幸福感で満たされ、外の世界の煩わしさに邪魔されることなど少しも望んでいなかった。

「緋千夜、電話が鳴っているよ」藤原真一は緋千夜のスマートフォンが光っているのを見て声をかけた。

「気にしないで、ただの迷惑電話だから」緋千夜は画面を一瞥しただけで、気にも留めずに端末を伏せてテーブルに置き、葉とのおしゃべりを続けた。

藤原圭からの着信はその後も立て続けに鳴ったが、緋千夜が応じることは一度もなかった。

彼女は藤原圭の態度にうんざりしていた。いつも自分の生活に口を出して...

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