第265章 容疑者

「映像を拡大しろ」

捜査を担当する刑事が指示を飛ばすと、モニターの映像が一瞬で引き伸ばされた。解像度が上がり鮮明になった画面には、黒いジャケットを着た人物が緊張した面持ちで緋千夜の車に近づき、何やら細工をしているような姿が映し出されていた。

「車のブレーキシステムをいじっているようですね」

別の警察官が鋭い視線を画面に向けながら付け加えた。

「この人物を特定し、身元を洗う必要がある」

担当刑事の口調は重苦しかった。

「これは単なる事故じゃない。意図的に仕組まれたものだ」

警察は直ちに不審者の捜査を開始した。高架橋周辺の防犯カメラの映像を回収し、さらなる手がかりを求めた。数時間に...

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