第36章 彼女に触れるな、汚い

鈴木瑠璃は別荘に戻り、服を数着取って出ようと思ったが、ソファに置かれた数着の赤ちゃん服を見て、思わずそれを手に取り、名残惜しそうに眺めた。

これらの服は全部藤原圭が買ったもの。可愛くて、肌触りも柔らかい。

もしこれが自分の子供のために買われたものだったら、どんなに素敵だろう。

でも、藤原圭は二度と彼女の子供のために服を買うことはない。蛍の子供のためにしか買わないのだ。

鈴木瑠璃は赤ちゃん服を頬に当てた。まるでそうすることで、藤原圭の大きな手が自分の頬に触れる感触を想像できるかのように。自分は本当に狂ってしまったのだと、瑠璃は思った。

あの男は自分にあれほど冷酷で情け容赦なかったのに...

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