第197章

彼女は冷ややかな視線をモンスターに向けていたが、その双眸の奥には一瞬、隠しきれない動揺が走った。

モンスターは斧の柄を口に咥えると、己の腕に深々と突き刺さっていた長刀を、力任せに引き抜いた。

刃が抜かれたその刹那、それまでおびただしく噴き出していた血が、見る見るうちに凝固していく。

その再生速度は人間の領域を遥かに凌駕しており、見る者を戦慄させるに十分だった。

奴は不敵な薄ら笑いを浮かべると、手にした長刀を無造作に庭の外へと放り捨て、もはや興味を失ったかのように視線を外した。

武器を失った瑠璃は眉根を寄せ、モンスターの背後にある退路をちらりと盗み見る。その胸中に、微かな怯懦が芽生え...

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