第250章

「彼はかつて、狭島長城に駐屯していた戦士だ」と、伊藤聡平が答えた。

おれは心の中で首を傾げる。狭島に駐屯する戦士といえば、野人族の守護者ではないのか?

なぜ彼らはこれほどまでに緊張しているんだ?

それに、「かつて」とはどういう意味だ?

おれが疑問を抱いている間に、族長は儀式を終わらせ、低く力強い声で瑠璃に告げた。

「儂が死んだ後は、お前が後継者だ」

瑠璃は目を見開いたが、あまりに唐突な重責に対し、どう答えてよいか戸惑っているようだった。

その時、伊藤拓巳が再び大声を張り上げた。

「ジジイ、正気かよ! どれだけの戦士があんたの席を狙ってると思ってんだ? 狭島長城を守ったこともな...

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