第255章

伊藤聡平はすでに食料と種を集めるべく動き出しており、俺は一人、石造りの小屋へと戻った。

 本田安奈は熱心に薬を煎じているところだった。俺が戻ると、彼女は振り返って尋ねてくる。

「おじさん、そっちはどうだった?」

「族長は了承してくれたよ。伊藤聡平も準備に取り掛かってる。トラブルがなければ、明日の朝には出発できるはずだ」

 俺がそう答えると、本田安奈はほっと息を吐き、土鍋の中でぐつぐつと煮立つ薬湯に視線を戻した。

 彼女は再び俺を見て言う。

「ねえ、おじさん。あらかた薬草を使い切っちゃったの。明日はもう出発でしょう? 瑠璃さんの傷を治すためにも、今日のうちにもう少し摘みに行きたいん...

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